実は重要!?クレジットの序列とは……(後篇)

2020/03/05 ブログ
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こんにちは!
『文字のチカラは、あなたのチカラに。』のキャッチコピーでおなじみ、愛知県西尾市で広告制作をしているオフィスリバーインです。

 

今回のブログは、前回、前々回に続きまして、「クレジットの序列」についてご紹介していきます。今回のテーマは、「事例から見る序列における配慮」です。

 

【目次】
0.クレジットには配慮が必要?
1.ポスター刷り直し? 解雇された銀幕スター
2.共演できない? 課題と向き合う脚本家
3.平等に五十音順? けどよく見てみると……
4.これなら大丈夫? 登場順という選択
5.こだわりすぎた? テンプレを崩した大女優

 

詳細は下記をご覧ください。

 

 

0.クレジットには配慮が必要?

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前々回のブログで、クレジットにはトップやトメといった順番を表す専門用語があることをお話しました。前回は、「特別出演・友情出演」の表記についてお話しました。
このようにクレジットには、それなりに決まった法則や順番が決まっているのですが、実はこの順番を作るにはそれなりの配慮が必要です。
一体、どんな配慮がクレジットに必要なんでしょうか? たかがクレジット……いえいえ、されどクレジットなのです。
今回は、配慮によって作られた5つの事例をご紹介してきます。(敬称略)

 


1.ポスター刷り直し? 解雇された銀幕スター

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1968年に映画公開された「不信のとき」(大映配給)。田宮二郎、岡田茉莉子、若尾文子、加賀まりこがメインキャストとして顔を連ねました。
当時宣伝用に刷られたポスターの序列は、トップに岡田茉莉子、トップ2番手に加賀まりこ、トメに若尾文子、トメ前に田宮二郎でした。

 

この序列に異議を唱えたのは、田宮二郎でした。この序列で見ると、田宮は事実上の4番手扱いとなっています。しかし、当時大映映画で数多く主演を務めていた田宮は自分の扱いに不満を抱き、撮影所長や大映副社長などに相談をしました。
結果的には、田宮をトップに変更したポスターが刷り直されたわけですが、この一件で当時の大映社長と一悶着が起こってしまい、田宮は大映を解雇され映画界追放となってしまったのでした。

 

 

2.共演できない? 課題と向き合う脚本家

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クレジットの配慮によって様々な対応をしなければいけないのは、現場のスタッフだけではありません。その配慮は、時に脚本家が対応しなければならないケースもあるのです。
2015年にNHKで放送された大河ドラマ「花燃ゆ」。実は今作に出演した時代劇のベテラン高橋英樹と北大路欣也は、クレジットの優劣をつけさせないために、二人が同時に出演する回が作られなかったのです。


高橋も北大路も、出演した回は全てトメを死守していました。高橋が出演するときは北大路の出番はなし、北大路が出演するときは高橋の出番はなし、という脚本になっているのです。
両名とも、大河ドラマには何作も出演しているベテラン俳優です。この二人の出演が重なったら、確かに優劣をつけるのは難しいかもしれません。


2008年の大河ドラマ「篤姫」でも、28話までは高橋がトメ(この回で高橋が演じた島津斉彬が死去)。勝海舟を演じた北大路の初登場は32話からと、こちらも出演が被らないようになっていました。

 


3.平等に五十音順? けどよく見てみると……

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1979年にTBS系列で放送された、日曜劇場1200回記念番組「女たちの忠臣蔵」。脚本・橋田壽賀子、プロデューサー・石井ふく子という名コンビが制作し、視聴率は42.6%という驚異的な記録を残しました。
今作では、クレジットは優劣を避けるために五十音順となっています。このように、大型時代劇などキャストが多く、また序列の優劣がつけられないときに、五十音順にするパターンは珍しいケースではありません。
ですが、放映時の実際の序列をよく見てみると、何かがおかしいのです。実際の序列をご紹介します。

 

(縦書き画面左から右へのスクロール形式)
渥美清→→新克利→→池内淳子→→(中略)→→渡辺篤史→→山岡久乃→→山田五十鈴→→山村聰

 

新克利(あたらしかつとし)よりも渥美清(あつみきよし)が先に来ており、渡辺篤史(わたなべあつし)よりも後に、山岡久乃(やまおかひさの)、山田五十鈴(やまだいすず)、山村聰(やまむらそう)となっています。正式に言えば、五十音順になっていないのです。
役柄を重視するためか、クレジットの優劣をはっきりさせるためか、理由は不明ですが、五十音順と言っておきながら、よく見てみると五十音順になっていないというパターンです。


他作品で五十音順の序列になっているものは、ちゃんと平等なクレジットになっているとは思いますが、このようなケースから、五十音順が必ずしもちゃんと五十音順になっているとは言えないわけです。

 

 

4.これなら大丈夫? 登場順という選択

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現在、テレビ朝日系列で放送されている「やすらぎの刻~道」及び前作「やすらぎの郷」。
今作は往年のスターだけが入れる老人ホームが舞台となっており、ベテラン俳優女優が数多く出演しています。

序列の優劣がつけられないため、ホームページ上での人物紹介は主演の石坂浩二以外は五十音順。ドラマ本編のオープニングでは、石坂浩二以外は登場順に名前が表示されるようになっています。


このように明確な主人公以外の序列を曖昧にするために、登場順で表示するのも平等な表示方法としてふさわしいのではないでしょうか?

 

 

5.こだわりすぎた? テンプレを崩した大女優

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TBS系列で放送されていた「西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ」。十津川警部演じる渡瀬恒彦と亀井刑事を演じる伊東四朗のコンビで有名な作品です。
今作は、トップに主演の渡瀬恒彦、トメに事実上もう一人の主人公である伊東四朗と決まっていました。これまでシリーズが何作も制作されましたが、基本的にこの2人の位置は変わりませんでした。


ですが一度だけ、例外に渡瀬と伊東がW主演扱いで連名トップになった回があったのです。これは、某掲示板でも有名なお話です。

それは、2004年12月に放送された回で、この回のゲストは渡瀬の元妻・大原麗子でした。
先ほど話したように渡瀬と伊東が連名トップ、大原がトメという異例の回でした。
数年ぶりのドラマ出演で、大原が主演以外の作品で出演するのは珍しく、このような異例の措置が取られました。


大原は主演作がほとんどで、ブレイク前はもちろん連名もありましたし、トップ以外、五十音順に従うなど普通だったのでしたが、1998年放送の大河ドラマ「徳川慶喜」では、語りを兼任して出演していたが故に1年間全ての回でトメを死守した記録を持っています。
本来、大河ドラマでは「語り」は、本編の役を兼任している場合でも出演者の前に表示されるのが多いのですが、大原の場合は見事トメを独走したのです。

 

一説によると、大原はクレジットにとてもこだわりを持っていて、業界からは次第に扱いにくい女優になってしまったそうです。五十音順表記だったドラマ「源氏物語」で、2008年の再放送が決まった際には、自分の名前をトップに持ってほしいとプロデューサーの石井ふく子氏に要望をしたほどです。趣旨が違うからと石井プロデューサーは断ったと言いますが、それがきっかけで連絡を取り合わなくなったとか。大原が亡くなる8ヶ月前のことです。

 


いかがでしたか?
一概にクレジットと言っても、実は現場ではこのように、いろいろな配慮や対応をしないといけないケースもあるようです。
実際、弊社代表の川内が脚本を書く時も、序列を意識して書いています。その意識したものが、実際の形でどれほどズレるのかは分かりませんが……(笑)

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました!