「あてがき」の善し悪し~愛知県でライター業務・広告制作を行うオフィスリバーインのブログ~

2021/09/10 ブログ
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おはようございます!

『文字のチカラは、あなたのチカラに。』のキャッチコピーでおなじみ、愛知県西尾市で広告制作をしているオフィスリバーインです。

 

今回のブログは、脚本執筆における「あてがき」についてご紹介していきます。

 

【目次】

1.「あてがき」って何?

2.イメージをして描ける

3.良く意味で、壊すこと

4.制限や問題があることも

 

詳細は下記をご覧ください。

 

 

1.「あてがき」って何?

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「あてがき」という言葉を日常生活で使うことは少ないと思います。ある意味「あてがき」は業界用語、専門用語といっても良いかもしれません。

「あてがき」というのは、簡単に言うと特定の役者をイメージして脚本を書くことを表しています。劇団やグループなど、キャストの顔ぶれが変わらずに先にキャストが決まっている場合だと、キャスト全体を先にキャスティングイメージをして、それをもとに脚本を書くこともあります。

 

「このキャストで描きたい!」というように、物語を作る上で先にキャストのイメージを浮かべている場合も「あてがき」と称されます。映画のインタビューなどで「この人をイメージして脚本を書いた」というのは、つまり「あてがきをしている」ということになるのです。

当オフィスでも、以前キャストが先に決まっている状態で脚本のオファーをいただいたことがありましたが、その時は全てを「あてがき」にしなければいけないという条件がありました。

 

 

2.イメージをして描ける

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「あてがき」の良いところは、キャストの顔や表情が何となく頭に浮かび、イメージをして描けるということです。演者にも向き不向きの演技があります。例えばコメディーが似合いそうな俳優をイメージして「あてがき」をした場合、脚本家の立場としては「この人がこういうことを言うから面白いんだろうな」「この人にはこういうセリフは似合わないな」など、その俳優のイメージからよりキャラや性格、セリフが考えやすくなります。

 

もちろん撮影現場や舞台稽古で演出家によってセリフが変更されるなんて話はよくある話ですが、少なくともその人物像やキャラは、自分がイメージした俳優さんが演じるわけなので、脚本家としても想っていたものと違うという問題は起こらないと思います。

またセリフにおける説得力も変わってきます。例えばすごくイケメンな俳優が「俺みたいなブスが……」というセリフを言ったとしたら、「おいおいどの口が言っているんだ」ってなりますよね。イメージやキャラによって、発するセリフは当然変わってくるのです。

 

 

3.良い意味で、壊すこと

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上記でイケメン俳優の例を挙げました。説得力という部分もありますが、「え、この人がこんなセリフを言うの?」というギャップをもたせることも「あてがき」の特徴です。

例えば品のあるイメージをもっている女優さんが「おい、こら!」というセリフを発すると、急に面白い雰囲気になりますよね。視聴者としても「この女優さんでも、こんな言葉遣いするんだ」と、セリフとは言え印象に残りますよね。

 

「この人が言わないようなことをあえて言わせる」という、良い意味でイメージを壊すことができるのも「あてがき」の特徴です。意外性なキャスティングや重厚感のあるキャスティングの裏で、このような「あてがき」を用いることで、従来のイメージをもちながらも固定概念を壊すことができます。しかしその反面、「いやいや、この人はこんなこと言わないでしょ」「この人にこのキャラは似合わないでしょ」と、従来のイメージがつきすぎて、意外性のある設定ができないという問題もあります。

 

 

4.制限や問題があることも

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企画段階である程度の話を進めるとはいえ、事務所としてもタレントのイメージがあるので、「あてがき」を良いことに斬新なものを取り入れようとすると、先方のリアクションはピンキリだと思います。

例えば爽やかイケメンを売りにしている俳優に「狂気的な殺人鬼」という設定の脚本を渡したら、おそらく事務所側はすぐにOKを出さないでしょう。

 

また、当オフィスに脚本の依頼があったときのお話ですが、キャスト先行のためあらかじめ特定のキャストをイメージしたことと先方からの要望もあって、兄と妹の話を書いたことがありました。しかし当日になってキャストの変更がありました。実際に撮影現場に行くと、兄と妹というよりもカップルに見える構図になってしまったのです。

このように「あてがき」をしても、キャスト変更で自分が思っていたイメージと少しずれてしまうということもあります。

 

 

いかがでしたか? 物語を書いていく上で、キャスト先行だったり、特定のキャストをイメージして脚本を書き始めると、描きやすいという利便性もある反面、諸々な事情で「あてがき」が思うようにいかないこともあるのです。一度イメージやキャスティングということを全く意識せずに、とにかくストーリーとキャラ重視で脚本を書いてみるという方法も良いかもしれません。

 

最後までご覧いただき、ありがとうございました!